今日はお休み+レディースディだったので
以前から観たくてしようがなかった『十三人の刺客
一人(´・ω・`)で観てきました!
基本的に映画を観るときはネットで前評判(ネタバレは見ない)をある程度
ひろってから行くのですが、これは評判通りの良作映画でした。

ストーリーは
『時は江戸時代、将軍の弟にして最凶の暴君松平斉韶を討つべく十三人の刺客が立ち上がる』
という至ってシンプルなわかりやすい話です。

チラシや公式サイトでキャストの知識は入れた状態で観賞したのですが、
シンプルなストーリー展開故に極力登場キャラの説明等を削り取り、
ただただ暴君を討つ事に時間を割いておりました。
そのため登場人物個々の設定があまり表に出ておらず、
この手の時代劇映画慣れしているベテラン俳優はともかくとして、
刺客の中の若手俳優達は個性が出ていないようでした。
主役級はテロップで名前が出るのに若手は自分の口で名乗るだけ。
せっかくの13人なのにムラがあって印象が薄かった。
その割にやたら武士ではない刺客としての趣旨を理解していない
途中参加の男ばかりがクローズアップされていて
ちょっと疑問だった。

そんな中、前半おそろしく丁寧に人物像が掘り下げて
描かれていた最大の敵、暴君・斉韶は良い出来でした。
SMAPの稲垣吾郎が演じていましたがこれがいい。
正直稲垣吾郎の演技ってそんなに好きではなかったのですが
(金田一シリーズや明智シリーズでは大根だと思ってた)
これは別格ですね。当たり役でした。
この手のもので良くあるただただ攻撃的で馬鹿笑いしてるだけの狂人演技ではなく
知能は高いが決定的に精神に疾患がある猟奇殺人犯的な殿を淡々とこなしていました。
この殿、終始性格が変わらないからイイですね。
近頃ありがちな、そうならざるを得なかった実はかわいそうな人
みたいな流れがまったくなく、どこまでも下衆ですばらしかった。
これは一見の価値有りです。

あと素晴らしいのは後半の死闘シーンにつきますね。
CGを殆ど使わず村一つを戦場に改造、爆破!どこまでも大がかりで派手でした。
殺陣もすばらしく最近の邦画にみられるワイヤーアクションやマトリックスみたいな
スローモーションもなくどっしりと落ち着いたアクション。
(特に松方弘樹の殺陣は素晴らしかったです!さすが往年の時代劇俳優)
死闘シーン50分が短く感じられました。
戦闘中に作品にあっていないイメージソングやBGMが全く流れないのもいい。
やっぱり日本の映画はこうじゃなきゃ!

それと細かいところですが照明の色合いが昔ながらの時代劇って感じで素晴らしかった。
和ろうそくを用い、極力人工的なライトの光を抑えた映像美。
私の大好きな和の色合いでした。

この映画は痛快なアクション時代劇好きなら是非ご覧になってみて下さい。
私はとりあえずいまいち薄く感じた人物像を掘り下げるべく
小説版を読んだ後に改めてまた観に行きたいなと思ってます。
映画ノベライズ版 十三人の刺客 (小学館文庫)映画ノベライズ版 十三人の刺客 (小学館文庫)
(2010/08/05)
大石 直紀

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追記…
伊勢谷友介演じる野人・小弥太のオチが分からない。
彼は結局人間じゃないのだろうか?狐狸妖怪のたぐい?どういった設定なんだろう。
あの監督だとノリでそうしただけで深い意味はないのかもしれないけどw